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Vol.11
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2007年は、菓子業界および食品業界全体の不正行為に対し、さまざまな摘発がありました。食品表示の偽装、賞味期限の偽装といった不祥事が相次ぐなか、非常に気になったことは、消費者保護という名の下に、すべてを混在させてしまうマスコミ報道のありかた、そして「内部告発」という侘しく残念な事実でした。 |
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大手食品会社が食品の含有物を表示する順番を間違えた、それは法律上のルールに違反しています。それによって誰かが被害を受けたわけではないが、その企業は全商品を回収し販売停止、記者会見まで開いて謝罪しました。確かに、人体に害がなければ何をやってもいいというわけではありません。でも「○○社でも」と、それまでの不祥事と同等に近い切り口で扱うマスコミの取り上げ方はあまりに単純すぎます。一瞬で呑み込まれ、刷り込まれる、甘くみていてはいけないということだと思います。
当然ながら不正は許されないことです。また「知らなかった」「ずっとこのやり方でやってきた」では済まされません。一連の摘発は、製造者が食品の安全を守る責任をあらためて考える機会となるとともに、世代も価値観も違うなか、組織のなかでどれだけ経営方針や夢を共有し合えているか、経営者の内部へのメッセージ力をも問われていると思います。
そんなことで、もう何も語りたくもなくなるほどの2007年でしたが、今年は襟を正し新たな気持ちで建て直していく年にしなければなりません。
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■もう、待ったなしの日本経済。
私が社長となってからの40年間で、今が一番不安な時代です。それは、ご存知のとおり、今年、「原料高」が間違いなくボディブローのようにきいてくるだろうという危機感です。サブプライムローンのこげつきに対する株価下落、円高、そこへ、原油のコストアップからはじまる一連の物資の値上げが、直接的に間接的に起こってくるでしょう。一時的なオイルショックの時代、とはあきらかに違います。当時はその弊害を受けなかった産業が日本経済を支えました。
たとえば、「小麦粉」の値上がりは、代替エネルギーであるエタノールの需要が上がってきたことが背景にあるわけですが、これまでからすると考えられない2割、3割といった上げ幅です。この10年ほど価格変動がなかったパンもこの春値上げをします。当然、お菓子屋さんの商品価格にも響いてきます。
また、包装材の値上げもあります。すべての紙原料とフィルム原料のコストアップ、インク代含め印刷加工代も同様。弊社においても価格転嫁をせざるを得ない状況が再びやってくるでしょう。だからといって少しでも安い海外製品を、というと、まだその製品の<安全・安心>という点で保証されていません。
頑張って現価格を維持すれば収益を圧迫する一方、原料高を反映させた2?3割の値上げを断行して、たとえば、200円のお饅頭を240円に価格改定するとお客さんが激減しまうと考え、二の足を踏まれているかもしれません。少子化の問題もあります。
過去20年、タクシー代やラーメン代や光熱費など諸物価が軒並み値上がりしているなかで、和菓子そのものは価格がさほど変わっていません。私は、もっと従業員に還元できて、商品開発のための研究費が十分とれるような価格づけをするべきだと、常々お話しし、またこの『オーナーズ・サジェスチョン』でも書いてきました。嗜好品である以上、お菓子はおいしいものであることが求められるわけですが、そのために尽力する予算を考えず、数、量で売ることに力を注ぎ、収益を減らしても右肩上がりを優先させる、それを何十年も引きずってきてはいませんか、と指摘してきました。
いったい日本の経済はどうなっていくのか。企業モラル、法令順守は基本的なこととしても、原料高、材料の質の選別の問題、消費の格差社会の広がりに関しては、どんなご商売であっても、その影響は無縁ではないでしょう。
特に経済格差、つまりコスト安と高付加価値の双方を求める消費の二極化は、それぞれのお菓子屋さんがどうターゲットを絞っていくかを見極める局面となっています。端的に言えば、これまで販売してきた総数をさらに伸ばそうとするのか、数量目標を減らしても質を確かなものとしてブランド力を上げていこうとするのか、これからは商品ターゲットとそれを手にするお客さんの顔をしっかり見つめた経営戦略が生命線となってきます。
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■見える時代をつくりだす2008年に。
経済バブル前の時代、ヨーロッパから靴やバックのブランド品が日本に上陸して、ようやく青山などに一部の店がオープンした頃は、すぐにその展開のきざしは見えませんでした。どんな女の子だって2つ3つ買えば満足して、同じものはそう買わないだろう、そんなことを考えていたものです。が、使ったあとも中古品としての価値を持つ、すぐに若い子たちが「買っておいても損はない」という価値観を持ったこと、これには驚きました。物語に共感し、憧れるブランドのバックボーンという付加価値を、誰もが認める時代となったのです。もう一つ、女性の消費心理層というのは、どこまでも貪欲で尽きない、実はこれで経済が成り立っているのだということです。
商品特性として、お菓子もそれに近い属性を持っていると思います。格式の高い老舗菓子、前もって予約をしなければ手に入らないようなこだわり職人のお菓子。そこに消費者の羨望は集まります。かたや、量産化をめざす<土産菓子>というジャンルにも、平均点を少し超える味の裏づけ、つまり割安感のある商品や、流行やストーリー性をもち、信頼のおける企業イメージを備えた商品など、さまざまなブランディングの販売努力を見ることができます。
まちがいなく前途多難になっていく一方の日本経済ですが、同業他社ばかりではなく異業種にも視点を移すと、商売を続けていくためのベーシックな戦略モデルから、もしかしたらどんなことも学べるでしょう。社会貢献、消費者に対するサービス、商品の時代性をみた開発、そして結果をともに働いてくれた社員に還元していくことまでを含め、まずは5年のなかの中長期計画を明快にしたうえで、果敢に店づくりに取り組んでいただきたいと願います。
その際、欠かせないキーワードは<コミュニケーション>。原料高の逆風のなか、コストを抑える企業努力はもちろんですが、お互いの経営を尊重しあうコミュニケーション努力なしに生き残りはありえません。組織のなかでも、情報を共有しあう体制をいっそう強固にして、オーナーと社員が一体となって取り組むための熱意が、今こそ必要とされています。
当然ながら、弊社も新たな意気込みをもって2008年を迎えました。むしろ逆風を時機到来とみて、日本経済をつくっていくという自覚と自負を持ち、ともに挑んでいきましょう。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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