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お茶とお菓子の間をとりもつティータイム。仕事の傍ら、お茶に魅せられてアジアの茶場を探索する広岡さんは、菓子通としても知られ、お茶をみつけたらお菓子、お菓子があればお茶を、と常にマッチングを愉しんでおられるとのこと。日頃の愉しみ方からおもてなしのアイデアまで、ジャンルやスタイルを問わず綴っていただきます。
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茶の間菓子の間
ニスをしていた頃の友人から
久しぶりの連絡があり、谷中を探索し、下町らしさを味わいたいとのことで、「乃池」で待ち合わせをして穴子鮨をいただき旧交を温めました。私を含めて二人は、現在テニスをしていない状態でしたが、一人は今も、週に二日午前中をテニスで過ごしている現役、さすがに体型も維持されている様子。お菓子とお茶を楽しむには、それなりの努力をせねば、と反省しながら、その足で、友人がやっている中国茶とお酒の店、私が個人的に谷中の隠れ家と呼んでいる「anoma」へと、軽く夜の散策をしたのでした。
友人は、芋焼酎の水割り、そして泡盛「克」をお湯割で。と、ここで、お茶の話ではなかったかと問われてしまいそうですが、実は私が頼んだのは、お米と麦の焼酎に、中国茶「蜜蘭香」を浸け込んだもの。お酒の味は好きだけれど弱いという私にはぴったりのお気に入りです。中国茶のほのかな香りに酔いながら、もう一方でお酒の酔いにも翻弄されるような欲張りな酔い心地がなんともいえません。実はお茶もお酒も好きなのかもしれませんね。さて今日のおつまみは、あたかも、お魚系でまとめようと相談したかのように「鯖の燻製」、そして「大根のはりはり漬け」に決まりました。煙で燻された鯖や、陽の中にめいっぱい置き去りにされた大根と、どちらも、ちょっとクセありのつまみなのが、おもしろい取り合わせとなりました。どちらかが負けるということもなく、それぞれの味わいがしっかりとして、いい感じ。考えてみれば、蜜蘭香のような青茶は、太陽の光の中で茶葉を萎れさせたり、空気の中で茶葉をさらして揺すり、さすりして醗酵させたりしますし、一方はりはり漬けの大根も、手のひらに乗るほどの大きさにまるまで乾燥させたもの(写真のグラスの横にある2本の物体は、大根を乾燥したものです)を漬け込んでいますから、なるほど、陽に当たった仲間同士相性がいいのかもしれません。気のせいか先ほどの穴子の余韻にもマッチしたような気がします。
その後、中国茶「ウートン金獅子単叢」をゆっくりじっくりと楽しみました。これはanomaの主、星川さんおすすめのお茶。星川さんとは中国は広東省潮州市鳳凰山への古い茶木を訪ねる旅をともにした仲なのですが、その旅の鳳凰鎮(鳳凰村)では狸を食し、私たちは、その美味しさに大層感激したのでした。その後、その狸が元だと言われたサーズの騒ぎでは顔が青ざめましたが・・・。
それはさておき、ウートンとは、「烏という字と、山へんに東と書く字」の2文字の地名なのですが、パソコンの文字には見当たらずカタカナ表記としました。鳳凰山の向かい側の山で、鳳凰山より少し標高が高い山の名前です。鳳凰山や石古坪地区と並んで優れた単叢の産地。本物のウートンは無農薬で栽培しています。
時を経ても同じように、気の許せる友人とのお茶とお酒の宵は、ただただ、うっとりとして静かに過ぎていきました。帰り道、外は木枯らしが吹き荒れていましたが、心と身体の奥底深くから温かく優しい力が湧きあがってくるようでした。