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茶の間 菓子の間
     
お茶とお菓子の間をとりもつティータイム。仕事の傍ら、お茶に魅せられてアジアの茶場を探索する広岡さんは、菓子通としても知られ、お茶をみつけたらお菓子、お菓子があればお茶を、と常にマッチングを愉しんでおられるとのこと。日頃の愉しみ方からおもてなしのアイデアまで、ジャンルやスタイルを問わず綴っていただきます。
 
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茶の間菓子の間

 杭州では、ほかにいくつかの茶館に行ってきました。西湖のほとりにある「湖畔居」は由緒のある大きな茶館。大きな玄関を入って中に進んでいくと、少し暗いロビーから、正面奥に明るい湖面が窓いっぱいに広がっているのです。ちょうど窓辺の 席が空いていて、西湖を眺めながらの、お茶の時間を過ごすことができました。静かすぎるほどの冬の湖の風景のなか、ここでも、皆、トランプに興じているのです。ち ょうど土曜日にあたったからでもあるのでしょうか。家族と友人たちと、お茶を傍らに会話しトランプを楽しんでいる姿は、なんとも贅沢に見えてきます。
 ここでは、杭州でも人気が高いという「六吉白茶」をいただきました。張さんは 「朝鮮人参茶」。朝鮮人参茶にしたのはどうしてかと聞いてみると、「家でいつも家族が飲んでいるお茶だから」とのこと。お父さんが飲んでいるけれど、飲ませてもらえないから、飲んでみたかったのかしら? せっかくお茶処に生まれたというのに、 現地の若者は緑茶を飲まないのかしら? それとも、この際高いお茶を頼んでみよう、と思ったのかしら? などと、張さんを前にして私は勝手な思いをめぐらせながら、そして西湖を見やりながら、互いに言葉が通じるようで通じないような、それで いて、それがちょうどいい距離感でもあるかのような、不思議で微妙な居心地の良さを感じながらのお茶の時間を楽しんだのでした。
 「湖畔居」への道すがら、小さな屋台が出ていました。屋台はビジネス街でもあるその辺りに存在するのが場違いなようにも思えたのですが、(日本でも銀座の街路に焼餅の屋台が出ていたことがありましたが、見慣れない人には違和感があったのかも しれません。)そこで張さんは、「そうだ」と急に立ち止まって「子どもの頃、よく 買って食べたんだよ」と、買ったものを私に渡してくれました。それは日本の七五三 の「千歳飴」のように白く棒状のものを、一口大の大きさに引きちぎったような短い棒状の、半生状態の飴でした。さっそく口にして、素朴な甘さと、口の中でくちゃくちゃと粘る口当たりを楽しみながら、張さんが子どもの頃のたぶん20年前の、このあたりは、どのようだったのだろうか、と想像をめぐらせたのでした。その飴も、お店で出た、たくさんのおつまみに加えて、お茶をいただきました。
 おつまみで、おもいしろいと思ったのは、青豆と筍が組み合わせてあったことです。 そういえば杭州の名物料理でも、鳥と筍を組み合わせた鍋料理がありましたが、おつまみの豆にも筍を組み合わせてあったのです。また、青藤茶館では、お茶に青豆が組み合わさったものがありました。鳥と筍、筍と青豆、青豆とお茶、とこの繋がり方 が、なんともおもしろく思えたのです。杭州は、唐の時代中期以降、一大穀倉地帯として発展しました。同じ頃お茶の生産も発展していきました。この頃から、土地のものを組み合わせて人々が工夫してきたものが、今に伝えられてきた結果なのでしょうか。また、杭州の龍井茶は、豆の香りがすると思っていましたが、それも、作られた 土地と関係があるのかもしれません。
 余談ですが、今回訪ねた龍井茶博物館でいろいろ説明をしてくださった先生とは、その、豆が入ったお茶の話で盛り上がりました。すると先生は、先生の友人の田舎(杭州郊外)では、日本のぶくぶく茶のように、豆や穀物を入れたお茶が飲まれていたそうで、そのことを思い出してくれました。青豆を混ぜたお茶の飲み方が、どこかで繋がり日本のぶくぶく茶として伝わったのか、それとも、農村のお茶の飲み方として偶然に同じようなことを始めたのか、と私はまた、面白い課題を見つけたような気がして、今度は、杭州の郊外のその田舎を訪ねてみたものだと思ったのでした。
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