株式会社 アンゼン・パックス HOME
ABOUT US パッケージ事業 パッケージデザイン事業 プランニング事業
トップから〜
OWNER'S SUGGESTION
会社概要
MAP
採用のご案内
お問い合わせ
パッケージ別注品
パッケージ 菓子用既製品
クリエイティブワークス
オカシな手帳
ココントウザイ・ライブラリー
プロモーション実例
TOKYO@EXPRESS
APクロストーク
季に折々
コラム〜FROM INSIDE
HOME > プランニング事業 > 茶の間 菓子の間
茶の間 菓子の間
     
お茶とお菓子の間をとりもつティータイム。仕事の傍ら、お茶に魅せられてアジアの茶場を探索する広岡さんは、菓子通としても知られ、お茶をみつけたらお菓子、お菓子があればお茶を、と常にマッチングを愉しんでおられるとのこと。日頃の愉しみ方からおもてなしのアイデアまで、ジャンルやスタイルを問わず綴っていただきます。
プランニング事業
プロモーション事例
TOKYO@EXPRESS
APクロストーク
季に折々
コラム〜FROM INSIDE


茶の間菓子の間

032
ベトナム ハノイの「はす茶」
〜茶づくり編〜


031

中世から伝わる
お茶のゲーム『お茶講』


030
『お茶の郷博物館』
お茶シンポジウムにて


029
大寒の頃に茶摘みする
愛知県足助の「足助寒茶」


028
年末年始と山椒

027
韓国宮廷料理と懐石料理の
おこげの関係


026

チベットのお茶


025
阿波の番茶づくり〜茶づくり編〜


024

阿波の番茶づくり〜茶摘み編〜


023

釜炒り抹茶と中国から伝わった菓子

022

山の上、青々たる碧


021

火薬と呼ばれる緑茶、平水玉茶


020
春分の頃に摘む新茶を求めて


019

西湖のほとりの茶館にて


018

杭州の茶館にて


017

眠れない夜のためのお茶


016

絶品!ヤクのチーズと
山で飲むお茶の味


015

ミルク菓子の王国ネパール


014
ポルトガルから日本、そしてタイへ、海を渡ったお菓子。

013
“愛”と“友愛”の間で飲むお茶


012

バラと水羊羹の日々

011

ペコリーノとソラマメと

010
東西の狭間にある
感謝と喜びの甘み


009
香り高き台湾のお茶に酔う

008

早春の花めぐり

007

クセモノはクセになる?

006

秋の夜長の酔い心地


005
夢見る紅茶

004

お月見のお茶


003

真夏日記更新の夏にいただいたお抹茶


002

北京が思い出される「つがる町小町」とジャスミン茶


001
ネギ入り薄焼きビスケットと緑茶








 
 ベトナムのハノイ旧市街HangDieu通りの店『HuongSen(フォン・セン)』で、はす茶のための、はすのおしべの分別を見ながら、内心では「はすの花を摘むところを見てみたい」という気持ちが募っていました。意を決して訊いてみたところ、Hai(ハイ)さんは意外なことに「明日の朝、5時に店に来てください」と気軽に応じてくれました。
 翌朝4時に起きて、まだ夜が明け切らない街を店に急ぐと、Haiさんはなんと、店の前に置いてあった自分のバイクの後ろに乗るようにと促すのです。ハノイの夜明けの街の中、バイクで風を切って、はす畑のあるタイ湖(西湖)へと出発です。まだ薄暗い中、街では通りを掃除している人、店の準備をしている人、野菜を運ぶ人などが、忙しく働き始めていました。やがて旧市街から近郊への大通りへと抜けると、通勤のラッシュのためなのか徐々にバイクの数が多くなり、気がつくと通りを埋め尽くすほど。隣のバイクにすぐ手が届きそうです。大通り沿いの花市場では、早朝から多くの人が働いて盛況でした。バイクや自転車の後ろに花を積んで、各々の店へと帰っていく様子は、活気があふれて、いつまでも見ていたいような光景です。夜明けから早朝の街の人が働き出すまでの時間。ハノイは、本当に魅力的でした。こんな時、こんな風景の中、バイクに乗って走り、ハノイの街の息吹を直に感じることができて、そして何より数年来見てみたかった、はすの花摘みを見られるとあって、なんとも幸せな満ち足りた気分でした。
 湖に到着すると、そこは、また別世界。朝の湿気を含んだ霧が、まだ立ち込めています。はすの畑の間を、小舟を漕ぐ竹竿の、上の部分が動く様子だけが、はす畑の奥に時々見え隠れして、小さな小舟が、ゆっくりと、すべるように進んでいくのが垣間見えるのです。遠くにいたと思った小舟が、近づいてきたな、と思ったら、またすぐに消えていなくなるといった感じです。はす茶に適したはすの花を素早く見つけ、手早く摘んでいくのです。畔には、はすの花を摘み終った竹製の小舟が置いてありました。人ひとりが乗れるほどの、まるで笊のような小さな小舟です。こんな小さな小舟に乗って1本の竹竿だけでバランスをとりながら、漕いでいるのか、と驚きました。またはすの花は、満開なのかと思っていましたが、広いはす畑の中で咲いているのは、ところどころ。ちょうど良い花を探しながら、畑の中を隈なく遠くに近くにと、漕ぎ出していくといった風情です。小舟は遠くまで出て行くので、舟の上で作業しながらのこともあるようで、小舟の中には、おしべを分別した様子も見られます。
 1日に採取するはすの花の数は、訪ねた7月には約3000。良い天気なら5000〜6000。シーズン始めの5月は400〜500。6月と7月は1000〜6000。8月には、1000から700、そしてシーズンも終わり頃には400位になるとのことでした。
 はすの花は、夜中の2時か3時頃に次々と花を開き始め、朝の9時頃に閉じてしまう、だいたい2,3時間で閉じてしまうのだそうで、小さく花開いた状態になっている間が、香りを保っている時間なのだといいます。その間に、おしべを採る作業を終えるようにしなくてはならないのだということでした。また雨の日は、はすの花は香りが悪くなるといいます。もしも、花が開く頃に雨が降ってしまうと、花の中に雨が入ってしまって、使いものにならないのだそう。また湿気が多く霧が深いと、花は蕾のまま枯れてしまうこともあるのだといいます。さて、この日は前日の夜8時頃に雨が降りましたが、すぐに止んだので今日は大丈夫だ、と説明してくれました。はすの花は、短い間しか咲かないので本当に難しい…と、ハイさんは笑って仕方ないという仕草をして見せるのでした。
 さて湖の畔では、東屋があり、摘まれてきたはすの花から、おしべを分別する作業は、まずここで行われます。契約農家である、花を採取する人は、その作業に合わせるようにして小舟をはすの花でいっぱいにして畔まで戻ってくると、最後に大きなはすの葉を1枚、2枚と採って、花の上に乗せ掛けるのです。畔では、はす茶のためのはすの花を待つハイさんだけでなく、仏様にお供えするはすの花を求めてやって来る人もいるようです。はす茶用の花は、内部に小さな花びらがいっぱい密集していましたが、仏様用の花は、大きな花びらのみのもので、茎を長くとって採取、10〜20本位の束にして、その場で代金のやり取りをして、買いに来た人に渡していました。はす茶用に採取した花でも、まだ開いていない小さめの花だった場合には、ディスプレイ用として出すこともあるとのことでした。また、はすの実にする花は、別の場所で栽培しているそうです。
 そんな会話をして、しばらくした時Hai(ハイ)さんから、採り立ての花を差し出され手渡されました。そして、はすの花の中央、おしべが密集している部分を触ってみるようにと促されたのです。「?」と思いながら、はすの花を触ってみると、なんと花の中央が、ほのかに温かいのです! はすの花が、まだ生きているのだ!という実感がわいてきて、感動しました。にっこりと笑うハイさんが、はすの花を持つ仕草や話し方から、なんとも優しい気持ちが伝わってきます。徐々に温度が上ってきたハノイの近郊、西湖は、ゆったりと流れるようにして時間が過ぎていくのでした。
▲PAGE TOP
Copyright (C) AnzenPax all rights reserved.