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 数年前から日本でもお目見えし出した、塩味の効いた洋菓子。甘さの中にほのかな塩気が広がる独特の感覚は、経験するとクセになる魅力があります。
登場の発端は、パティシエブーム・スイーツブームに乗って、ブルターニュ地方特産の塩(ゲランド)を使った伝統菓子が紹介されたことにあった印象です。世界的パティシエ・アンリルルー氏の作る塩バターキャラメルは、いまや多くのスイーツファンを魅了する有名菓子。また、ブルターニュで修業したパティシエ・川村秀樹氏の店「アテスウェイ」(吉祥寺)も、ゲランドの塩を用いたケーキや焼菓子が味わえることで、2001年の開店当時から人気を集めてきました。
そんな塩味スイーツ、最近の日本では、パティシエの領域から飛び出してさまざまな場所で見かけるようになり、使われる塩の種類もお菓子のスタイルも豊富になっている傾向を感じます。
 一例を挙げると、「北海道塩チョコレート(株式会社小笠原商店)」はオホーツク海の天然塩を加えた、日本初の塩ホワイトチョコレート。「土佐・天日塩ジェラート(有限会社高知アイス)」は、高知の天日塩を使用したアイス。「雪塩ちんすこう(株式会社パラダイスプラン)」は宮古島の自然塩を用いたちんすこう。いずれも和菓子ではなく洋菓子ですが、北から南まで、その土地土地の天然塩をうまく用いた商品がたくさん出ていることに驚かされます。
 甘いものにうまく塩気を効かせるのは、全体的な味のまとまり・バランスの点で、決して容易なことではない気がします。しかも日本の塩は(旨みがあってまろやかなゲランドの塩に比べると)ちょっと苦くて塩気が鋭いので、塩気によって甘みを引き立てるどころか、味のまとまりをバラバラにしてしまう危険もありそうです。しかし、そんなハードルを乗り越えて生み出されている昨今の塩スイーツ。それが成功しているのは、洋菓子が複数の材料で成り立っている結果、味に幅が出て、塩気にリンクする要素を持ちあわせているからこそなのかもしれません。
 では和菓子、特に、味の要素の少ない餡の場合はどうなのでしょうか。美味しい塩羊羹などの存在はもちろんありますが、洋菓子に比べて新種のレパートリーはまだまだ少なめ。今後和菓子界にも新たな塩の世界が拡がるのか、はたまたやはりそれは難しいのか。そのあたりの動向も、ちょっと気になるところです。

(text & by  大町友美)




 5月1日、伊勢丹新宿店にて久しぶりに「最後尾はコチラ」の看板を見かけ、迷わず私もその最後尾に並びました。そこは日本発上陸「HENRI LE ROUX(アンリ・ルルー)」<株式会社ヨックモック、プロデュース>のお店でしたが、食べてみて「有塩バター」をタップリ使ったコクと、絶妙な塩加減、しっかりとした甘み、上品な口溶けの良さ(10数回程噛むと消えて無くなる・・・)が味わえて、20分強、店員さんから渡されたメニューを片手に、並んでよかったと思いました。
 何より、私が今まで思っていた、ギフトにキャラメル?と言う軽率な考えはこの商品に当てはまらないと感じました。流石「キャラメリエ」(店員さんが言うには世界でただ一人だそうです)!また、今日が初日と言うことで、ご本人もお店に顔を出されておりました。ここで少し、アンリ・ルルーさんのコメントを調べましたので、ご紹介しておきます。
 「私の店はフランス、ブルターニュ地方にあるキブロン半島の港町にあります。店を始めるときに、この地方の特産である有塩バターを使って、スペシャリテを作りたいと考えたのがきっかけ。C.B.S(キャラメル・ブール・サレ)を作り続けて28年。私が、今こうして皆さんの前でお話が出来るのもC.B.Sのお陰なんですよ。」
<2006年のサロンド・ショコラ東京で話された内容の一部です。>
 さて、にわかファンになった私は、近々再度訪問して、キャラメルと今度は「フランス最優秀ボンボン賞(1980年)」受賞の、ボンボンショコラや、日本限定のタルトも購入してみたいです。

キャラメル12個入れ/1,800円 他
■ショップ/伊勢丹新宿店 B1(洋菓子

(text & by  舘野恵幸)






 色とりどり、きらめくケーキがずらっと並んでいるのを見ているだけで胸が高鳴り、ましてどれでも好きなだけ食べていいとなったら興奮して前日は眠れない。そんな私のような人にうってつけなのがデザートバイキングです。
 そもそも食べ放題のバイキング(ビュッフェ)形式は昭和33年、銀座の帝国ホテルで誕生したそうです。その後デザートに的を絞ったものも続々と誕生し、有名なのは昭和60年デザートバイキング開始のホテルメトロポリタンや、各地で必ず名前の挙がるプリンスホテルでしょうか。大体1500円〜2500円程度でお昼から夕方にかけて、苺やマロンなど、季節ごとのテーマを掲げて行われています。その他にも曜日や時間限定で、「ムフタール・ドゥ・パリ」や「ポン・デ・ザール」といったレストランやカフェで行われているのは皆さんもご存知の通り。
 そこでスイーツ好きならば、各お店の開催概要をチェック、ホテル系や人気のところは予約を入れます。一大イベントと意気込んで食べ放題に挑む方が多かったのではないでしょうか。
ところが近年、予約しなくたって、時間を調べなくたって、365日いつでも気軽にスイーツが食べ放題の人気店が増えているのをご存知ですか?それが「スイーツパラダイス」です。名前を聞いただけで期待が高まります。
 スイーツパラダイスは2003年、大阪心斎橋に初出店。現在関西に5店舗、中部・東海に2店舗を構え、東京には2004年に銀座店をオープンさせました。その後渋谷や吉祥寺、上野にも進出し、首都圏は6店舗になりました。珍しいのは“デザートバイキング専門店”だということ。従来のホテルやレストランでのデザートバイキングとは違い、「甘いものがたらふく食べたい」と思い立ったらいつでも30種類以上のデザートが迎えてくれるのです。店内は気張らないカフェ風の造り。それぞれの街に合わせて、例えば銀座店は木目調で少しシックに、渋谷店は赤を前面に出してカジュアルでポップに、といった工夫も見られます。値段は1280円か1480円と手頃で、パスタなどの軽食も用意されています。同店は4年前のオープン時からコンスタントに人気を保っていて、先日は銀座店がテレビで放送されたらしく、土日は長蛇の列でした。ケーキ屋さんのケーキとは違い、一つ一つが繊細な作り、とはいきませんが、それでもフルーツがきれいに添えられていたり、話題のチョコレートファウンテンが用意されていたりと楽しめる要素がいっぱいです。 店内は10〜30代の女性が9割を占め、母娘やカップルといったペアも見られます。じっくりケーキを堪能しに、というわけではなく、あの色とりどりのケーキに囲まれる快感を気軽にいつでも味わえるのがここの魅力。一粒数百円の高級チョコや宝石のように飾られたパティシエスイーツがもてはやされる昨今ですが、子供の頃夢見たような「かわいいケーキをいっぱい!」需要だって確かにあり続けるのだなと感じた取材でした。

■スイーツパラダイス
http://www.sweets-paradise.com/
(text & photo by  山田 美奈子)







 話題のスポット、東京ミッドタウンがオープンして1ヶ月、ヨロイヅカもサダハル・アオキも連日長蛇の盛況降りです。でもこのサイトをご覧いただいている方なら、やはり見逃せないのは「とらや」。手招きされているかのように大きな暖簾に吸い込まれる人々、すれ違った若者たちが「カッコイイ!」とつぶやきます。
 店はギャラリー、ギャラリーの中に和菓子があります。オープニングから連休あたりまでは、羊羹「夜の梅」のためにオーダーした器が展示され、展示と言っても手にとれる気軽さです。和菓子まわりの小物、書籍も目を惹きます。壁にそって読む「夜の梅」の歴史、作り手の顔、材料へのこだわり。いつも箱に仕舞われて「差し上げる」ものだった銘菓に、こんな焦点の当て方をするなんて。悔しくなるくらい計画されたプロモーションです。
 同様に展示スタイルで誰もが覗き込んでしまう上生・季節菓子。ショーケースは和菓子屋さんの贈答主義から一転、個々のお菓子の美しさも瑞々しさも存分に見せています。気軽にフリーチョイスもできる対面ケースあたりでかかる「お一つからどうぞー」の声も、これまでの和菓子屋さんにはなかった響きです。
 無数の穴から外光を取り入れている壁。白い艶を放つでこぼこに触ってみていると、「瀬戸で1個づつ焼いてもらったブロックです。壁にするのは大変だったんですよ」と若いスタッフの方が息はずませ話しかけてきました。壁、暖簾、ライティング、そして回遊するお客さん。さりげなく置かれたパンフレットも販売品かと思えるくらいの内容充実で、手にした人はきっと大事にとっておきたくなるでしょう。
 デザインとアートがテーマ、アトリウムからガーデンを臨めば、六本木人工街中にして万緑爽景。お高いばかりかと思っていたミッドタウンは、人も店も商品もファインにするコンセプトを持っているようです。商品にとって舞台である店は、コミュニカティブな場になってこそ活きることを、パサージュの活況最中で実感したのでした。
 
(text & photo by  田中晶子)




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