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九月の声を聴くと、朝夕めっきり涼しくなりました。あの猛暑がうそのようです。さて、お月見も目の前になりました。
毎月規則正しく、お月さまは丸くなります。周期的に時計のように変化する月は、農事に必要なカレンダーだったと思われます。稲作の刈り入れを告げる満月は、十三回の丸い月の中でも特別なものであったのでしょう。いつしか中秋のみ「名月」と呼び、他の月を「明月」と呼んで区別していました。なんとも素敵な考え方です。
稲の前の主食は芋で、丸い団子ばかりでなく餡をつけた長い団子もお供えとして各地で見られるのは、里芋を供えたことの名残りだとも考えられます。一部にちょっとつける餡は月にかかる雲や里芋の皮を表しているなど、地域によってさまざまで大変楽しいものです。
■お店にぜひ「月見団子」を
正式なものであっても、故郷に伝わるものであっても、ぜひ店鋪の目立つところに月見団子を飾って欲しいものです。最近は家で団子を作ることもしなくなりましたが、次の世代の子供たちにぜひ見ていてもらいたいものです。三方にのせディスプレイしたものと同じ月見団子も販売してはいかがでしょうか。
その際、秋の七草を添えていたことや、月の方向に供えることや、栗はすぐ口にできるようにゆでておくこと、神さまと食事を共にすることを直会(なおらい)と呼んでいたことなど、ぜひお客さまへ説明をいただければうれしい限りです。
■名月十三夜の月
実は名月は二回ありました。十五夜の“芋名月”に対し一ヶ月後の十三夜を“栗名月・豆名月”と呼び、宮中を中心に月見を催していました。秋雨前線で名月を見られないことが多かったからだそうです。他国の習慣を自国流にアレンジするのは我が国の得意なところで、雨の日は雨月、曇りは無月とし、順延はしないなども、日本人の感性なのでしょう。
九月二十八日の十五夜が楽しみです。 |
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城戸翔寉 きどしょうかく
和菓子評論家、書家、企画コンセプター。福岡県出身。
和菓子と和菓子にまつわる歳時の話をわかりやすく解説する『和菓子講座』をはじめ、商品開発、店づくり、街づくりまでを手掛ける。 |