|

|
残暑きびしい夏でした。台風が2回も当方の頭上を過ぎ、これにも参りました。ただ、仕事はクーラーのある部屋ですし、窓を開けることも少なくなりましたので、以前にも増して季節感は遠のいているように感じます。TVのスイッチを入れると“記録的な…”の言葉だけが耳に残ります。
■ 夏仕立て小倉白玉ぜんざい、小カップで売れました!
そんな中、菓子処の店頭には今や栗がたくさん並んでいます。洋菓子店にはかぼちゃが勢揃いし、ハロウィンの演出がなされ、秋の深まりを報せています。デパートなどのディスプレイ一つとっても、枯葉の中のマネキンの首元がどことなく寒そうで、そろそろマフラーが必要かなと思わせます。すぐにでも“ぜんざい”の季節がやってきそうです。
そういえば、この夏、小倉水羊羹を少しアレンジした、<夏のぜんざい>がよく売れました。和菓子の材料は、マメや砂糖、粉ぐらいですので、そんなに特別のものが出来るわけでもありませんがそれが売れる。何人ものお客さんから「白玉は入ってますか?」と質問されることから、涼風ぜんざいには白玉が欠か
せないことに気がつきました。
カップ入りの白玉、玉露白玉入りの涼風小倉ぜんざいは、お客さまのアイデアから誕生した甘味。もちろん栗を添えることも忘れませんでした。何といっても、これ定番です。ちょっと海を渡ってみましょう。
■ サイコロ羊羹など考えてみませんか?
お菓子の素材は海を渡って来たものが大半だと思われます。例えば、海は寒天、山は葛、どちらも中国ではとろみの素材の一つなのでしょうか。素材づくりの工夫も歴史もきっと長かっただろうと考えます。その知恵がさらに進化して、完成された和菓子、意匠にもすばらしいものがあります。“五感で召し上がれ”のコピーがぴったりなのです。
さて、ぜんざいとくれば、ひょっとしたら出自は同じかもしれない羊羹、食べやすいよう賽の目に切って、冷蔵し、口に入れる前に黄粉をかける、ココアパウダーをかける、練乳をかける、などと工夫をしてみましたが、なかなかのものでした。それに留まらず、お醤油やワサビ、カラシとチャレンジは続きますが、先代の商品づくりは、こんなことのくり返しだったのかもしれません。えっ?と思われるかもしれませんが、マンハッタンのチョコレートショップをみてのヒントです。
■ 開発、企画は楽しくなくては!
羊羹はもともと、銀のフィルムに入っている処から考え直さなければなりません。アルミの材質は日持ちさせる工夫であることはご存じのとおりですが、
金の羊羹、銀の羊羹とパッケージで使い分けるのも一つのアイデア。なんだろうと思わせ、これは何ですかとお客さまに尋ねられることから、コミュニケーションが始まります。
また、お口に合うようにと方寸の羊羹や球形の羊羹があっても不思議ではありません。上生菓子に意匠をこらした様に、朝生や日頃見なれたものにもあとひと工夫が必要かもしれません。
■ “和”が注目されています。
日本文化の完成度の高さは、全世界の注目の的です。和食も和菓子もその円蕊(えんずい)の中にあります。菓子は、文化を含んだもののみがグレードの高いものとして次の世代へと受け継がれてゆくだろうと信じています。主食ではなく愉しむためのもの、当然ながらスナック菓子とは一線を画してきたものです。
|
|
|

城戸翔寉 きどしょうかく
和菓子評論家、書家、企画コンセプター。福岡県出身。
和菓子と和菓子にまつわる歳時の話をわかりやすく解説する『和菓子講座』をはじめ、商品開発、店づくり、街づくりまでを手掛ける。 |