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お月見、彼岸と続きました。毎日つくり続けている菓子処の方々にとっては普通のお菓子も、お客さんにとって歳時のお菓子は、季節を感じる貴重なもののひとつ。どんなに殺伐としたビルの中にいても、ほっとできる旬の味です。
■和菓子はベーシックに
自国の素材を使い、さらに旬にこだわり、“モダン・ブリティッシュ”を確立した英国のコンラン卿は、「人が驚き、かつファッショナブルで流行やトレンドに影響されないものを作り出すのが、私のデザイン哲学」と語っています。
私の街に、地野菜や目の前の海で採れたもののみを使った料理を出す、ぶどう畑の中のレストランがあります。スタッフはすべてご当地採用。もてなしの言葉もご当地弁。都会からこられる方にとっては、気分転換できる場所のようで、連日大変にぎわっています。結婚式も当人たちの手作りの企画が売りもので、これまた好評、たくさんの方々が、ぶどう棚の下のテーブルに着きます。パンの窯も出来、ケーキもつくり始めました。もちろんフルーツは地元農家のものをふんだんに使っています。
さて、ここにどうやって和菓子が入り込めるかは一つの課題でもありますが、和の菓子に到ってはベーシックなものがみなさまお好みのようで、「田舎風」とアタマにつくネーミングが、逆に新しく、粋な感じではないかと考えています。
■菓子は自分で主張します。
和菓子は難しい顔で口に運ぶものではなく、楽しいもの、わかりやすいものであって欲しいと考えます。木々の葉が色を変え山々が深まっていくかのように、ケースの中にも季節の移ろいがひと目でわかる秋色を見せてほしい。出来れば、栗一つにしても、スタッフで渋皮を剥いて加工した地域産のものを使うなど、形はシンプルでも中はこだわりそのもので。そのこだわりあればこそ、お菓子が輝きを増すはずです。
■栗とかぼちゃのおはぎ
おはぎの道明寺の部分には少し塩味、外の小豆餡の部分はしっかり甘さを感じるくらいの「一口おはぎ」が好評です。今はちょうど、「栗のきんとん包み風おはぎ」に変わっていますが、次の季節には、実に美味なるかぼちゃおはぎに挑戦!ということで、試作を楽しみに待っているところです。
私の考えるお菓子のコンセプトは「郷風季の彩菓」、あまり堅苦しさにとらわれず、その町らしい味、その町の人たちがいきいきとするお菓子であって欲しいと思います。
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城戸翔寉 きどしょうかく
和菓子評論家、書家、企画コンセプター。福岡県出身。
和菓子と和菓子にまつわる歳時の話をわかりやすく解説する『和菓子講座』をはじめ、商品開発、店づくり、街づくりまでを手掛ける。 |