お祭りの時期に。
ようやく日本各地に祭りが戻ってきた。皆様方の地域の氏神様でも4年ぶりいや6年ぶりのお祭りなどと言うところが多いのではないだろうか。
祭りは日本で古来から存在し、目的の1つに疫病退散などがあったから、コロナ禍で開催することができなかったのは、神職や氏子の皆様も本当に心苦しい日々だったに違いない。その祈りが通じてか今はもちろん感染者がいると言う事実があるものの、感染症第5類と言う以前よりは軽い分類でインフルエンザの風邪と同じ形となり、地域社会の集いの戻り、コミュニケーションが戻ってきたのは本当に良かったと思う。
さて、この8月末から10月にかけてはお祭りが多いというのが先ほど述べた通りだが、そもそも祭りとは何なのか、
現代では意外に知らない方もいらっしゃると思うので、改めて意味を確認してみると、これは神社での最も大事な行事として祭りが存在してきた事実にあたる。
神様におそなえをご用意し、いつもの感謝を述べることで、そのご加護を願ったのである。
古代は神職だけで行っていたものが、江戸時代以降、氏子の方々が多く参加し、お神輿の渡御なども始められて、その地域全体での一大イベントとして盛り上がるようになった。
そしてこの時期行われているのは例大祭と呼ばれる1年で1番大きなお祭りだと思われるが、五穀豊穣、つまり収穫をそろそろ迎えた日本の各地が命をつなぐお米を始めとした産物を自然からいただけるていることに感謝し、盛大に行う最大のお祭りである。
命を繋ぐ食物が、今は輸入品を含めて毎日自動的に運ばれ、スマホ1つで購入することができるというように形が少し変わってしまったことからありがたさがなくなってしまったのかもしれない。しかし産物と向き合う農家漁師の方は今でも、その事は日常にあると思うので忘れないようにしたい。
一方で災いと言うのもあり、自然災害は昔から今も同じように、人間の意図しないところで起こり、それに翻弄されてきた。治水事業などで少しは防ぐことができるようになったが、それでも自然の力は偉大だ。
よく神社の神様にお願い事ばかりではいけないといわれるが、ある神職の方に伺ったら神様にお願いを申し上げるときは、5分の4がその神様に対する感謝の言葉、ご神威を讃える言葉であって、5分の1程度にお願いを入れるのが平安時代位からの祝詞の常識なのだと言う。なるほど、いつもお願いばかりではほんとにいけない。また学業で合格祈願などして受かった場合や無事に子宝に恵まれた時など、その後に神社への御礼参拝を忘れがちであるが、これが最も大事なことであると言うのは変わらないようだ。
いま改めて大きなお祭りで盛り上がって、その意味を再度考えてみたいものである。
そしてお菓子と言うのは神様にお供えする神饌(しんせん)と言うものの中に古代から含まれている実は大切なもの。
お供え、つまり神饌は、順番が厳格に決められており、お米の次がお酒、そしてその次は餅なのである。そして最後に米と塩を献上するのだが、その米と塩の直前に置かれるのがお菓子である。お菓子の生業と言うのは実はかなり神聖なものでもあるのだ。
代表取締役 尾関 勇