世代間断絶の加速

ずいぶんもう昔の事のようであるが、2019年12月に新型コロナウィルスが発見されて、翌2020年は年始から豪華客船の集団感染など人々を恐怖に陥らせ、世界的なパンデミックへとつながった。そしてもはやそのパンデミックはなかったかのように、今世界は安定を取り戻している。しかし、この数年の様々な変化は、市井のほとんどの人々に隔てなく、いろいろな価値観やあり方を変える影響を及ぼしたのではないか。その1つとして挙げられるのが、世代間のギャップ、断絶に関わる加速化ではないだろうか。

今日、日本の社会において比較的元気で、またリーダーシップをとっている年齢の層が70代から80代の方が多いように思う。この方々は例えばファミリービジネスの場合、その先代より仕事や立場を引き継いで、ある程度反映発展させ、そして資産も増やした。いわゆる成功者の方々が多く、リーダーシップもあり、社会の様々なところで存在感がある。

そしてその子である40代から50代の人間は、それらのいわゆる昭和世代の方々を引き継ぎながらも、あらゆる社会的なインパクトによって、そして特にインターネット技術の発展によってもたらされた社会構造の変化で、自分のあり方や、企業のあり方を変化させなんとか繋いできた。そこには前の世代から引き継げずに合理化してしまった物もコロナ禍であったかも知れないが、それでも先代のスタンスを大事にして今に至っているように見える。

そしてその次の世代となる。20代から30代のこれから社会を作っていきそうな人たちは完全にその2代前から仕事のやり方や価値観などが変わり、断絶してしまっているように思う。

地方によっては、きちんと業務が引き継がれている場合もあるが、どちらかというと多くの家族や企業文化の中で、その前の時代と比べてあっという間に以前のものを引き継がないと言う状況になっているのではないだろうか。

これが悪いと言うことではなく、おそらく多くの人が望んだ変化なのだと思う。そうなっても仕方がない。それで良いと。

その中でお菓子はどうだろうか。

今のZ世代と呼ばれる20代〜30代の方々は、親から教えられたと言うよりは、あらゆる情報伝達の手段を使って、自分で選び、自分の好みでいろいろなものを消費しているように思う。菓子についてももちろんである。
その上の世代や企業はそうやって変化する消費のパラダイムシフトや移り変わりについては、いきなりくるっとひっくり返らないものなので、だんだんとその変化に外堀を埋められていると言う事は意外に気がつかない。

代々受け継がれてきた菓子文化、地域のお菓子屋さんなどがこれから直面しなければいけない課題はここにあると思う。

逆に言うと、今から再構築も可能だし、世代の中での口コミや地域の中での利用に頼らないダイレクトなマーケティング戦略を作っていけるそのような時代なのだと思う。

代々の慣習を受け継がない。

そのような時代が日本に訪れているのだと痛感するこの頃である。

代表取締役 尾関 勇