修行せずとも他社を知る〜事業承継を見据えて〜

世間ではようやくコロナウイルス感染予防のワクチン接種が広まり、あれだけ猛威をふるった感染も急激に下火となった。マスコミの報道も随分と落ち着き、これからの消費回復が待たれるところである。

さてこの20ヶ月ほどは世間では嫌になる程、コロナやワクチンの報道が多数を占めたので、少しここでは菓子店様などに有益な情報を述べたいと思うが、やはり再びクローズアップされるのが、菓子店の事業承継問題についてである。小規模店のみならず、大手菓子店に至るまでこの問題はコロナ禍で一層加速され、会社整理や廃業といったニュースも多く聞かれるようになった。
もちろんこの問題は菓子店(和洋菓子製造小売業)だけではない。中小企業が多い日本全体に覆い被さる深刻なテーマなのである。

その対策や将来展望について小職は専門家ではないので指南などはとても憚られるが、重要なポイントの一つである点として、経営者の後継者が継ぐことを拒否する継承断絶であることは明白だ。企業に魅力がないのか、菓子店であれば菓子そのものに興味がないのか?はたまたあまりの負債の多さにリスクを回避するということなのか?個別の事情は複雑である。

小職も、お取引先様よりこの点を相談されることが多い。
そうしたとき、こうすれば良いというはっきりとした解決策があるわけではないが、この10年でこの問題に一つ有効と思われるのが、弊社などを通じて「元気な同業他社と懇意になること」というキーワードが見えてきた。

「それなら後継者候補を適切な先様に修行に出せばいいのでは?」となるのが一般的であるが、学校を出てタイミングよく修行先に入れることはそう簡単ではない。
そもそも継ぐという意思もない子女が多いのが根本的な問題であり、意思もないタイミングで親の思う「勉強」ができるかどうか甚だ疑問である。それに後継者が子女ではない場合、いっぱしの年齢になってからでは他社に勤めることは叶うはずもないのである。

しかし、共同企画のプロジェクトなどを通じて前述の通り同業他社と懇意になればその中から様々な学びを得て、刺激ももらい必ずや自身の菓子店に対する見方も変わってくる。

かつては競合相手である同業他社と懇意になってプロジェクトなどを一緒に行うことは考えられなかったが、このところ弊社などの「業界ハブ的企業」では互いを繋ぐ仕事が増えてきたことがこういったコミュニケーションを可能にしている背景がある。

百貨店の催事しかり、マーケティングの共同事業しかり。多くの時間を割いて、短期的な目的を共有し達成感と失敗までも一緒に味わう。それが少し事業資金を出し合えばなおさら意思疎通は深まり、その過程で各会社のフィロソフィーだったり企業文化の違いを知って自身の会社に生かすこともできるのが特徴だ。

後継者であればその効果は高く、もちろん幹部社員であっても今までにない化学反応を起こすこともできる。

ポイントは、元気で成長株の菓子店と一緒になること。

社員教育セミナーなどのプログラムも良いが、意外とヒントは近くの競合他社にあるのかも知れない。

 

 

尾関 勇