活況を呈するデパートの和菓子催事
このところ、全国各地の有名百貨店で開催される和菓子に関する催事が、企画内容・売上ともに素晴らしく、大きな賑わいを見せているようだ。
新宿タカシマヤでの催事はもちろんだが、先駆けである阪急うめだ本店、そして直近では札幌の丸井今井での催事においても、1日あたりの売上高や来店客数が以前とは桁違いに多く、和菓子に対する消費者の関心の高さがうかがえる。
思い返せばコロナ禍以前、和菓子関係の催事は6日間の開催を通してもトータルで2,000万円に届かないことが多く、1店舗あたりの採算もなかなか厳しかったという話をよく耳にした。
当時は「サロン・デュ・ショコラ」をはじめとするチョコレート催事がうなぎ上りの人気を誇り、北海道物産展のようなイベントが活況を呈していたため、和菓子の催事はどちらかといえば、そこまで華やかな存在ではなかった印象がある。
現在、ギフトのあり方が変化したことで百貨店での菓子店の集客や売上を作る事は決して容易ではない。それでもこれほど催事が盛り上がっているのは、百貨店の担当者の方々が、従来の法人需要や定例化された贈答から「パーソナル消費(個人が自分のために楽しむ消費)」へと巧みにシフトし、企画内容を深掘りしてきた成果ではないだろうか。
加えて、物流の進化や催事担当者の尽力によって、これまで現地でしか手に入らなかった銘菓が身近な百貨店で買えるようになったこと、そしてSNSの発達により「今しか買えないレアなもの」を求める消費者の期待にしっかりと応えられたことも、この機運を高めた大きな要因と言えるだろう。
かつて百貨店の催事といえば、催事出店を得意とする特定の店舗が中心だった時期もあった。しかし今では様子が一変し、普段はあまり催事で見かけない名店の店主自らが店頭に立ち、実演や製造販売を行う姿が目立つようになった。こうしたライブ感や特別感も、良い循環を生み出している要素に思える。
まさに、「特別なものを、特別な場所で手に入れる」という百貨店本来の魅力が、ここに体現されているのではないだろうか。
和菓子業界を取り巻く環境は依然として厳しい側面もあるが、日本を代表する食文化の一つであることに変わりはない。だからこそ、このようなハレの場で和菓子がスポットライトを浴びて盛り上がることは、包材をはじめとする関連産業に携わる私たちにとっても、非常に誇らしく、大きな励みとなるニュースである。
代表取締役 尾関 勇